電波を通して触れる       2001/02/17
 2月14日はバレンタインデー。日本のあちらこちらで、さぞ多くの本命、義理のチョコがとびかったことだろう。今から15、6年前体調を崩して、仕事をやめて、暫らく家にいたが、手持ち無沙汰でラジオを聞きながら手内職をしていた時の事。其の日は、バレンタインデーで音楽のリクエストを受け付けていた。ご主人の誕生日のプレゼントにと(プレスリーの曲だったと記憶しているが)リクエストした人の名前が、親しい友人と同じで、ご主人の名前がまた同じ、早速問い合わせると、やはり友人に間違いなかった。身近な人の消息などを、電波やブラウン管を通して触れたりすると、通常と違った感動を受けたりするものだ。
 またある時、視聴者からの体験談を受け付けている番組で、看護婦さんからの話で、ある主婦が台所の換気扇の紐を引いて換気扇を回そうとしたところ、紐が切れててんぷら鍋に手をつっこんでしまって、油を浴びてしまい、とっさに水風呂に飛び込んで、体を冷やしてから病院に駆けて来た患者さんの話をしていた。恐いなと思って我が家の換気扇の紐の安全を確かめたりした。数日後、長男のクラスの美人のお母さんが焼けどをした事を知った。PTAでその後会った時、腕と足に包帯を巻いた姿が痛々しかった。美しい顔は無事だったので人事ながら安心した。
 テレビを見ていても、たまに知った顔を見出す事がある。近所の男の子が遊びに来ていてテレビを見ていたら、講道館から柔道の試合の中継をしていたのだが、其の子があ、お父さんだと言う。
見れば、確かに彼の父親が関係者席らしい場所に座っていた。又「題名の無い音楽会」を見ていた時の事、観客席の最前列に以前近所に住んでいた女性を発見した事もある。保母さんの資格を取るのに、ピアノの試験があるとかで一生懸命練習していた頑張屋さんだった。
 最近の事では、同じ会社の若い男性社員が、「テレビチャンピオン」に出演して昆虫部門で準優勝したが、翌日は見逃した社員がいつでも見れるように会社で其の様子を一日中ビデオで流していた。
 この2月に入って、若い男性社員から、彼の父親の絵が吉田拓郎の番組に登場するとのメールが届き、当日は休日で、午後教えられた番組を食い入る様に見た。其の絵は、番組中に作られた食堂の背景に掛けられた大きな額に収まっていた。抽象的な絵で、毎年頂く年賀状と同じようなモチーフだった。私には、港に停泊するボートのように見えたので、出勤してから、同僚に話したところ、私の感想として、「ボートが転覆しているように見えました」と知らせてくれた社員宛メールを送信していて、少々立腹したが、いつも冗談ばかり言っている人なので、ま、いいかと思い直した。このようにチョットでも知り合いの事となると、気持ちが弾み、親近感を覚えるのは、何なのだろう。高校野球に対する地元住民の熱狂的な応援や、都市対抗駅伝など、身近なものを応援する光景が年間を通じて繰りひろげられるが、やはり人間は何かの集団に意識せずとも、属しているというか、繋がれているのかも知れない。
 私自身は、ブラウン管に登場する事は無いと思うが、これからも知り合いの姿を見つけることができれば愉しいのだが。皆さんテレビカメラの前に立つ機会があったらVサインなどして知らせて
下さい。
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