落  し  物
昨年末の事。会社の昼休みに、郵便局で予約しておいた「20世紀デザイン切手」の12月分を受け取って帰ってみると、今買ったばかりの切手が無い。バッグの中を捜しても見当たらない。道を引き返して探してみたがやはり無かった。せっかくシリーズで購入していたので翌日又郵便局へ出向いた所、なんと他の用事で別の窓口へよった際に置き忘れていた事が判明した。
 
 いつもボーっとしている私が、財布を拾ったことがある。20年も前の古い話になるが、バスを降りようと席を立った時近くの座席の上に財布を見つけた。他の乗客もいないので運転手に渡すと、住所氏名を記入させられた。忘れた頃、その財布の落とし主が現われず私のものになった旨の知らせが届いた。所轄の警察へ出向いて受け取った金額は3、000円也。財布の中身を私に渡してから係官が財布はどうするかと聞いたので「いりません」といったら、傍らの屑入れに捨てようとした。もったいないと思い財布も受け取る事にした。結構長い間使用出来た。

 同じ頃、バスに乗って前方のちょうど車輪の上にあたる、床から高い位置の座席に、よっこいしょと座ったとたん手に持っていた財布を開いていた窓から外へ落としてしまった。
 すぐに声を掛けて止まってもらえばいいものを、言い出せず、次のバス停まで待って下りて引き返したが、見つからなかった。あきらめて勤務先の近くの交番へ届けて、社に出勤した。
 仕事で出向いた先で、今日バスでこれこれと話すと、そこの運転手さんが、どんな財布かと聞くので緑色のこれこれと形を話したところ、彼が車を走らせていると道に財布が落ちているのを見つけて拾ったという。誰か問い合わせがあったら渡してと事務所へ預けておいたと言う。紛れも無く私の財布だった。
 
又ある時、夜中にパトカーが我が家にやって来て、私の自転車を盗んだ人がつかっまたので確認に来てくれと言う。雨でも降ったためか勤務先近くに自転車を止めてバスで帰って来たのだが、それを盗まれたらしい。おまわりさんが夜の巡回中に橋の上から自転車を投げ捨てようとしている男を捕まえたと言う。夜中に警察へ行ったが、自転車の確認だけで、実際に手許に返されたのは数日後だったような気がする。
 特に心がけが良いわけではないと思うのだが、何故か私のものは手許に帰ってくるようだ。
pagetop