愉しみさがし   2001/05/20

 ある時テレビの中で、女性タレントさんがリラックスする時に目を閉じて、ベビーピンクの色をイメージすると言っていたのを気にとめて、試しに目を閉じてイメージしてみた。簡単に出来そうで、なかなか思い浮かばない。薔薇の花の色を思い浮かべようとすると、意地悪くモノトーンの花の形が現われる。
 ある日読む本を持たずに通勤電車に乗って、珍しく座れたので、自然に目を閉じてピンクの色をイメージしようと思いつき、まず広い野原一面の緑を想像してみた。意外と緑はすぐに浮かんできたので、そこにレンゲが咲いていると暗示してみた。そのうち遠い一点がトンネルの出口のように小さくぽつんと現われてそこから徐々に紫色がチロチロと炎のように渦を巻いて次第に大きくなりながら目の前に広がってきて、紫色が薄れてピンクに変化した。目を閉じているのだが頭の中で想像して浮かぶのを考えていたのに、本当に目の裏にピンクそのものの色を見ているので、びっくりした。一体この現象はなんだろう、こんな事ってあるのだろうか。
 何気なく目を閉じて居ると、目のような形が見える事が続いた事がある。片目だけなので右目かな、左目かななどと考えていると益々はっきりした目になってじっと私を見ている。
 こんな時、勤務先の近くの図書館を利用するようになって、たまたま手にしたのが、「70日間世界一周」に主演した女優シャーリー・マックレーンの著書「アウト・オンナ・リーブ」で想像に反して華やかな女優生活の記録はあまりなく、内面的というか精神的、神秘的なものをもとめた日常を綴ったものだった。その中で眠れる巨人とも称されるというエドガー・ケーシーを知る。彼は、声が出なくなるという症状に見舞われたとき、たまたま町に来た催眠術の講演を見て、自分に試したところ何とその処方を催眠中のケーシーの口から述べられたというエピソードがある。信心深いケーシーは、自分が催眠中に話す言葉が何処から来るものか、正しい情報なのか悩むが、周りの人々の強い要望で、試しても害にならない処方だったので、徐々に病に悩む人の為にその力を使うようになっていった。これら、彼の携わった処方例は(リーディングと呼ばれる)今も遺族や関係者によって整理保存されて、希望者は閲覧できるらしい。この文を書くに当たってケーシー財団を検索してAREにアクセス(アメリカの本部のホームページ)して驚いた。目がこちらを見ているではないか・・・。
 日本でも彼の処方を用いているところがあるようなので興味の在る方はこちらのホームページをどうぞ。(http://www.power-of-healing.com/edger.html)
ケーシーの伝記や、夢に関するヒーリング集を読み、染まりやすい性格の私は自分の夢の記録を始めた。同時期に遠藤周作のエッセイで名前を知っていた、河合隼雄の著書を何冊か読むことになった。こちらも心理療法に夢がかかわっていて興味深く読んだ。
 目を閉じて浮かぶ色数も増えていき、時には連続模様が浮かぶ事もあった。特にきれいだったのは、歯科医院で治療台の上に横になっていて天井の明るい光の中で浮かんだ薔薇の花だ。始め一輪浮かび上がってそれが縦横に連なってステンドグラス風に見えた。
不思議とこの模様は強い光の中でしか浮かばない。叉見たいと思うのだが、最近ではトンと歯科に縁がない。興味が薄れたり、電車の中では読書をする事が多くなって目を閉じることも少なくなってきたが、たまに目を閉じると原稿用紙のような升目がさーっと流れるようになった。よく読めないが文字らしいものが書いてある事もある。久しく手紙も書かなくなって文章らしいものも書いてないのに不思議だなと思っていた。
 昨年の夏パソコンを手に入れることが出来て、姪とメールの交換をするようになり(開通するまでトラぶったが)彼女のホームページを覗かせてもらい、ついには今年(2001年)の1月に自分のページを開設した。今ではこうして下手な文章を書いている。ネットを通して親しい方々も出来た。働くだけの毎日に、もう一つの日常が加わって、忙しいけれど結構楽しい時間を過ごしているこの頃である。
 現実離れした、バーチャルの世界なのかも知れないが、映画、音楽、絵画と人々は想像の世界を楽しんでいる。今私は自分で発信するという愉しみを見つけたのかもしれない。
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