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◎12/28(水)晴天
2011年もあと残り3日となりました。
今年の賀状は『巨石巡礼』本の販促を兼ねて少し多めに印刷。
今夜からぼちぼち宛名書きをはじめるつもり。
◎
自宅にネット環境がないので、今年の更新もこれが最後になります。
良いお年をお迎えください。来年は5日(木曜日)から営業します。
◆『八幡神と神仏習合』逵日出典 講談社現代新書 を読む
◆『残虐記』桐野夏生 新潮文庫 を読む
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◎12/20(火)晴天
16日金曜日広島に帰省、昨日夕に帰ってくる。
◆『箕作り弥平商伝記』熊谷達也 講談社文庫
大正時代末期、秋田県秋田市太平黒沢の箕(み)作り職人・田辺弥平は、
販路拡大をめざして遠く群馬県まで行商の旅へ出た。そこで東北には見られない
「箕作り」=「サンカ(山窩)」という理不尽な差別の図式に遭遇する。
『邂逅の森』『荒蝦夷』その他の作品から、武骨な文体の作家と早合点していたが、
本作では飄々とした滑らかな筆に一変しており、登場人物一人ひとりがいきいきと
描かれていることに驚いた次第。
本作の取材された箕作り職人・田口召平氏を紹介したホームページ「月刊杉WEB」を
見つけたので興味のある方はご参考に。このHPによると、一般に箕は竹で作られるが、
北東北では竹があまり採れないため、イタヤカエデを使う製作技術が伝承されており、
2009年に国重要無形文化財に指定されたという。
また、解説者・赤坂憲雄氏の著書『山野河海まんだら』(筑摩書房)にも、
山形県大石田町次年子の箕作りが紹介されている。
◆『荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅』 実業之日本社 を読む
◆『神仏習合』義江彰夫 岩波新書 を読む
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◎12/11(日)晴天
◆『ヤマト王権はいかにして始まったか』
寺沢 薫/石野博信/藤田三郎/秋山浩三/森下章司/橋本輝彦/松木武彦
唐古・鍵考古学ミュージアム/桜井市立埋蔵文化財センター【編】 学生社 を読む
本書は平成19年開催のシンポジウムをもとに編纂されたもの。
邪馬台国の所在地について、近畿説を採用すると、3世紀中葉には日本列島の統一が
すでに成立していたことになるが、九州説だと北部九州一帯の地域連合ということになり、
日本列島の統一はさらに時代が下ることになる。
2009年5月、国立歴史民俗博物館による放射性炭素年代測定法で、箸墓古墳の築造が
240〜260年と報告されたことで、箸墓古墳は「やっぱり卑弥呼の墓?」と最有力候補に
位置づけられたが、これを決定とするのは勇み足であると思っている。
纒向遺跡の発掘が進むにつれて、吉備がヤマト王権の成立にあたって重要な位置を占めて
いたことが明らかになってきた。前方後円墳のルーツが、吉備の楯築遺跡だとされており、
その時期が卑弥呼の時代に重なるとすれば、「邪馬台国吉備説」も十分に成立すると思うのだが。
◆『永遠の仔〈3〉再会』天童荒太 幻冬舎文庫 を読む
◆『永遠の仔〈4〉秘密』天童荒太 幻冬舎文庫 を読む
◆『永遠の仔〈5〉言葉』天童荒太 幻冬舎文庫 を読む
『柔らかな頬』と直木賞を争ったという。小説の巧さにおいては桐野に及ぶところではないが、
魂を揺さぶられるという点では『永遠の仔』に軍配を上げる。児童虐待という重いテーマだか、
これに真正面から向き合う作者のひたむきな思いが、読む者に共振し、涙を誘う。
長すぎるなどいくつかの不満もあるが、
これらを補ってなお余りある圧倒的な魅力を備えた力作である。
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◎12/4(日)晴天
◆『富士覚醒』石黒 耀 講談社文庫 を読む
富士山噴火にともなう大火砕流をシミュレーションするサイエンスフィクション。
2900年前の富士は、単独峰でなく筑波山のような2つの峰をもつツインピークスだったという。
八ヶ岳南麓の金生遺跡(縄文後晩期)から望む富士の山容は、現在とまったく異なっていたのか。
◆『邪馬台国と纒向遺跡』上田正昭/石野博信/高橋徹/千田稔/辰巳和弘/黒田龍二/橋本輝彦 奈良県立図書情報館【編】 学生社 を読む
平成21年(2009)11月、纒向遺跡(奈良県桜井市)で、卑弥呼と同時代の3世紀前半の
大型建物跡が見つかり話題となった。同時代の建物では国内最大級である。
本書は2009年12月の講演会とシンポジウムを編纂したもの。
◆『永遠の仔〈1〉再会』天童荒太 幻冬舎文庫 を読む
◆『永遠の仔〈2〉秘密』天童荒太 幻冬舎文庫 を読む
「……社会全体の拠(よ)って立つ視点が、〈やられた側〉からのものに変わったとき、
初めて判決なり罰則なりも変わってくるんじゃないか……。
もっとも、社会がそんな形に変われば、いままでのような経済的な発展は望めなくなるだろう。
〈やられた側〉のことなんて見ないようにして、どうにか発展してきたところもあるからな……。」
記憶にとどめておきたい一節(〈1〉再会 255ページより)。
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◎11/27(日)晴天
◆『女神記』桐野夏生 角川グループパブリッシング を読む
『グロテスク』の作者が日本神話を素材にどんな物語を展観するのか、興味津々で読みはじめた。
物語の本筋はイザナキ・イザナミ神話だが、舞台はヤマト国のはるか南方に
浮かぶ小島「海蛇の島」(参考文献から沖縄の久高島と思われる)からはじまる。
久高島は「神の島」とも呼ばれ、1966年、岡本太郎が12年に一度行われる
秘祭イザイホーという、新たなノロ(神女)を継承する祭祀を取材し、
当時、島の葬法であった風葬の写真を公表し一躍有名になったところ。
沖縄の民間信仰であるニライカナイと日本神話の根の国の物語を交錯させることで、
現代にも繋がる臨場感ある生々しい神話に再構成してみせる手腕はお見事!
ちなみに柳田國男は、根の国の「ネ」とニライカナイの「ニーラ」は同根であるとしている。
◆『東北の山岳信仰』岩崎敏夫 岩崎美術社 を読む
◆『白村江 古代東アジア大戦の謎』遠山美都男 講談社現代新書 を読む
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◎11/20(日)晴天
打てない中日。落合の胴上げを見たかったが残念。
◆『グロテスク〈下〉』桐野夏生 文春文庫 を読む
『OUT』『柔らかな頬』でも、展開の妙と描写のしたたかさに感歎させられたが、
『グロテスク』はこの2作をも超えた「怪物的」傑作!!
4人の女性を中心にストーリーが展開する手法は『OUT』と同じだが、
4つの特異なキャラが織り成す、奇怪・醜怪・不調和・不気味な世界は、
まさに「グロテスク」そのもの。溜め息ものである。
◆『桜が創った「日本」─ソメイヨシノ 起源への旅 』佐藤俊樹 岩波新書 を読む
社会学者である著者は、明治初頭にはじまるソメイヨシノの爆発的な席巻を、
特筆すべき社会現象と捉え「ソメイヨシノ革命」と称している。
ソメイヨシノが画期的な大ヒット商品であったとする認識に異論はないが、
それが革命的であり、かつ桜のイメージ上では、ヤマザクラの「進化」したものであり、
ソメイヨシノは新しくて旧い桜である……。という論理の展開は回りくどく理解しがたい。
見た目でソメイヨシノに似ているのは、開葉前に花を咲かせるエドヒガンである。
開花と同時に葉が広がるヤマザクラが、ソメイヨシノと重なることはないと思うのだが。
◆『日本人はなぜ狐を信仰するのか』松村 潔 講談社現代新書 を読む
◆『縄文の宇宙、弥生の世界』高島忠平、岡田康博 角川書店 を読む
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◎11/13(日)曇り
「 Chronicle(年表)◎歴史備忘録」を新設。都度更新していきます。
◆『転生』篠田節子 講談社文庫 を読む
『弥勒』に続くチベットものだが、趣はだいぶ異なっている。
こちらは1989年に謎の死をとげたチベット仏教ゲルク派最高位の
パンチェン・ラマ10世のミイラが突如復活し、ゾンビとなって、
チベット人の小僧と旅をする奇想天外な大冒険活劇。
作者・篠田節子のスピリットがパンチェン・ラマに転生し、
チベットの非人道的な現状を訴えている。勇猛果敢な物書き魂に恐れ入る。
◆『伊勢神宮の謎を解く』武澤秀一 ちくま新書 を読む
溝口睦子著『アマテラスの誕生』で展開された、タカミムスヒからアマテラスへの
国家的最高神の転換を、「皇祖神の転換」と捉えるのではなく、天武・持統によって
新しい国家神として「皇祖神」が発明されたという観点から伊勢神宮の謎を解き明かす。
神社発生の起源を「ヒモロギ系」と「居館系」とする見解。および
心の御柱と神鏡を新旧2つのご神体とする解釈は興味深い。
◆『グロテスク〈上〉』桐野夏生 文春文庫 を読む
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◎11/10(木)曇り
石垣島で国内最古の人骨片 2万4千年前、洞穴遺跡
沖縄県・石垣島の白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡で人骨片が発見され、
放射性炭素年代測定法による分析の結果、約2万4千年前のものであることが10日、分かった。
調査した米田穣東大大学院准教授によると、骨自体の分析によって年代を特定できた人骨としては、
国内最古になるという。
米田准教授によると、分析した人骨片は肋骨の破片。昨年3月、遺跡の表面に露出していた骨を
県立埋蔵文化財センターの職員らが発見、米田准教授の研究チームが測定を進めていた。
同遺跡ではこれまでに、骨の分析で約2万〜1万5千年前の人骨片が確認されている。
【共同通信 2011年11月10日】
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◎11/06(日)曇り
◆『法隆寺の謎を解く』武澤秀一 ちくま新書 を読む
昨年、武澤氏の『神社霊場 ルーツをめぐる』(光文社新書)で、
神社建築の様式に対する見解をおもしろく拝読した。本書でも、
建築家の視点を存分に活かし、伽藍配置の推移から法隆寺の謎を解き明かしていく。
先週お薦めの『アマテラスの誕生』とともに、一読の価値ある古代史本。
◆『えびす聖子(みこ)』高橋克彦 文春文庫 を読む
◆『ファイアボール・ブルース2』桐野夏生 文春文庫 を読む
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◎11/03(文化の日)曇り
◆『千里眼千鶴子』光岡 明 河出文庫 を読む
明治の女性、御船千鶴子の数奇な運命を辿る中篇小説。トンデモ本の類いとは異なる。
◆『失われた弥勒の手─安曇野伝説』菊池恩恵、松本 猛 講談社 を読む
安曇野の「魏石鬼(ぎしき)の岩屋」から九州、対馬、韓国を巡る歴史ロマン小説。
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◎10/30(日)曇り
◆『蝦夷の古代史』工藤雅樹 平凡社新書 を読む
◆『柔らかな頬〈上〉』桐野夏生 文春文庫 を読む
◆『柔らかな頬〈下〉』桐野夏生 文春文庫 を読む
『錆びる心』以来、すっかり桐野ワールドに魅せられてしまった。本書は名作に値する。
◆『アマテラスの誕生─古代王権の源流を探る』溝口睦子 岩波新書 を読む
久々におもしろく読んだ古代史本。タカミムスヒからアマテラスへの、
国家神の交代劇を分かりやすく解説したお薦めの一冊。
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◎10/23(日)晴天
◆『日本人の顔─小顔・美人顔は進化なのか』埴原和郎 講談社 を読む
◆『日本の神話』吉田敦彦 青土社 を読む
◆『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』広瀬 隆 朝日新書 を読む
◆『人間動物園』連城三紀彦 双葉文庫 を読む
連城三紀彦、緻密な文体と巧妙なプロットに感心する。ミステリーの枠を超えた秀作。
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◎10/8(土)晴天
「拝ヶ石巨石群」をアップ。
「不動岩」をアップ。
今回、ホームページ「巨石巡礼」が、一冊の本に生まれ変わったわけだが、
つくづく本は読みやすいと思う。情報としては同じものでも、
情報の背後に、紙とインク、幾人もの手が加わったことの温もりがある。
秀和さんには、1800円以上の値段はつけないで欲しいという
希望をかなえていただいた。それでも高いと思われるかも知れないが、
中身のないスカスカの本にはならなかったように思う。
◆『日本多神教の風土』久保田展弘 PHP新書 を読む
◆『にっぽん巡礼 漂泊の思いやまず』山折哲雄 創元社 を読む
◆『ファイアボール・ブルース』桐野夏生 文春文庫 を読む
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◎9/28(水)晴天
日本のパワースポット案内 巨石巡礼50
巨石巡礼、完成しました。
本のタイトルは、アスペクト社に使われてしまったので、
「巨石巡礼」では、販売上まぎらわしいということで
「日本のパワースポット案内」を頭につけました。
早いところでは30日、遅くとも一週間後には書店に並ぶとのことです。
◆『巨怪伝〈下〉─正力松太郎と影武者たちの一世紀』佐野眞一 文春文庫 を読む ◆『赤道』明野照葉 光文社文庫 を読む
◆『日本幻論』五木寛之 新潮文庫 を読む
◆『ぼちぼち結論』養老孟司 中公文庫 を読む
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◎8/14(日)晴れ
今週「巨石巡礼」を、秀和システムから出版化することが決まった。
発行は、なんと9月末。入稿まで1か月しかない……。
秀和システムは、コンピュータ関連、ビジネス書が主力であるから、
巨石本などはまったくの異例であり、私ですら驚いている。
秀和さんとは、カバーデザインの仕事をいただいている関係で、
古くからおつきあいさせてもらっている。
たまたま編集者Mさんとの雑談で、パワースポットブームの話しになり、
6月に出た「日経MJ(流通新聞)」の話しをすると、ぜひ見たいといわれるので、
新聞記事のPDFを送ったことから話しがトントンと進んでいった。
秀和さんの調査だと、巨石本は30〜50代の男性にしか売れないらしい。
Mさんは、パワースポットブームに便乗すれば、
若い女性層も取り込めて、部数も見込めると考えたようだ。
Mさんから、社に企画を出したいといわれ、
私も通るはずはあるまいと思って軽く承諾したが、
これが何をまちがえたのか、いやいやMさんの手腕によるものか、
「ただし」がついて、企画が通ってしまった。
これから、秀和さんと「ただし」についての攻防がはじまった。
9月末発行という無謀なスケジュールも、攻防の末の結果である。
攻防の中身については、Mさんに迷惑がかかるやもしれぬので、内緒にしておく。
A5版、オールカラー、208ページを予定。
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◆土曜日、テレンス・マリック監督『ツリー・オブ・ライフ』を観る。
◆『原始の神社を求めて 日本・琉球・済州島』岡谷公二 平凡社新書 を読む
◆『神々の遺品』今野 敏 双葉文庫 を読む
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◎8/8(月)曇り
「石神神社」をアップ。
◆『海の古代史 東アジア地中海考』千田稔=編著 角川選書 を読む。
◆『くもはち─偽八雲妖怪記』大塚英志 角川文庫 を読む
◆『OUT(下)』桐野夏生 講談社文庫 を読む
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◎8/1(月)曇り
「玉置神社と丸石」をアップ。
◆『OUT(上)』桐野夏生 講談社文庫 を読む
◆『錆びる心』桐野夏生 文春文庫 を読む
◆『暗い森』アーロン・エルキンズ ハヤカワ文庫 を読む
◆『遊戯する神仏たち─近世の宗教美術とアニミズム』辻 惟雄 角川書店 を読む。
◆『海底宮殿─沈んだ琉球古陸と“失われたムー大陸”』木村政昭 実業之日本社 を読む。
◆『輪廻(RINKAI)』明野照葉 文春文庫 を読む
◆『神のふたつの貌』貫井徳郎 文春文庫 を読む
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◎7/15(金)晴れ
「天龍神社/稲荷神社」をアップ。
月曜アップの予定が、忙しくてついつい遅れてしまった。
◆『澪つくし』明野照葉 文春文庫 を読む
貫井徳郎、今野 敏に続いて、明野照葉もはじめて読む作家だ。
明野照葉がダントツに面白いと思うのは、私の偏りによるものだろうが、
8編の怪奇小説はすべて名編に値する完成度だ。
なかでも「雨女」がデビュー作とは、明野ホラー恐るべし。
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◎7/4(月)晴れ
「丹倉神社/大丹倉」をアップ。
猛暑日が続く。いつも渋谷から富ヶ谷の事務所まで歩いているが、
先週は、さすがに頭がクラクラしそうで、週後半から地下鉄に乗っている。
昨夏のような記録的な猛暑にはならないといわれているが、
節電が叫ばれる今夏、くれぐれもお身体ご自愛ください。
◆『夜想』貫井徳郎 文春文庫 を読む
◆『海に消えた神々』今野 敏 双葉文庫 を読む
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◎6/27(月)曇り
「橋杭岩」をアップ。
◆『大往生の島』佐野眞一 文春文庫 を読む
「大往生の島」とは、日本一の高齢化の町。
宮本常一の故郷でもある瀬戸内海に浮かぶ過疎の島、周防大島のこと。
都会の中で見る年寄りはみすぼらしいが、
田舎にいくほど年寄りが元気であり、いきいきとして見える。
これは、サクラや巨石で辺鄙なところにいくことから得た感想である。
来るべき高齢化社会を、都会の視点で考えるか、田舎の視点で考えるか。
これによって、まったく異なる「老い」の景色が見えてくる。
◆『十津川街道 街道をゆく12』司馬遼太郎 朝日文芸文庫 を読む
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◎6/20(月)晴天
「楯ヶ崎/獅子岩」をアップ。
17日(金)発行の日経MJ(流通新聞)に「巨石」の特集が組まれている。
私のところにも取材にこられ、コメントしている。
昨今流行のパワースポット・ブームを取り上げた記事だと思うが
私自身まだ新聞を見ていないので、詳しい内容は不明。
先週、免許の更新で、はじめてゴールド免許をもらう。
やっと大人の運転ができるようになった。
◆『捜査官ガラーノ』パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 を読む
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◎6/13(月)晴天
「天柱岩/一枚岩/牡丹岩/虫喰岩」をアップ。
先日アップした「花窟神社(花の窟)」で、五来重氏の説を紹介している。
「熊野には古墳時代の古墳が存在しないことから、風葬が卓越しており、
そのためとくに烏が神聖視された」と推理し、イザナギが黄泉の国で見た、
イザナミの「脹満太高、膿沸虫流(はれただれ、うみわきうじたかりき)」という描写は、
風葬の姿をとらえたものと解するのが自然だろう。というもの。
今週再読した森浩一氏の『日本神話の考古学』の中に、
これと異なる説が展開されている。見落としていたのでここで紹介しておく。
イザナミの黄泉の国とは、横穴式石室もしくは海岸洞窟ではないかという説で、
イザナミの「脹満太高、膿沸虫流」という描写は、後期古墳時代に
追葬のために、何度も繰り返し石室内に入ったことから、
死体を目撃することで生まれたものではないか。という推論である。
また、海岸の洞窟を、墓に使う場合もあったのではないかとする点は、
五来氏の風葬説に共通している。
◆『日本神話の考古学』森 浩一 朝日新聞社 を再読
◆『日本人の顔 図像から文化を読む』山折哲雄 光文社文庫 を読む
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◎6/6(月)晴天
「神内神社」をアップ。
「齋ケ丘神社」をアップ。
昨夜BSテレビで、新藤兼人監督の「裸の島」(1960)を見る。
20代に観たが、当時とはまったく異なる感動を得た。
名作とはこういうものと思う。
◆『ヒルコ 棄てられた謎の神』戸矢 学 河出書房新社 を読む
◆『東北の神武〈ずんむ〉たち』深沢七郎 新潮文庫 を再読
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◎5/30(月)曇り
「産田神社」をアップ。
◆『神の火(下巻)』高村 薫 新潮文庫 を読む
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◎5/23(月)曇り
「花窟神社(花の窟)」をアップ。
壊れたパソコンは、外付けハードにシステムを入れて起動し、
かろうじて使える状態にもどすことができ、一件落着。
先日友人から、『巨石巡礼』という新刊を見たが、お前は関わっていないのか?
という旨のメールをもらった。アマゾンで調べてみると、
『巨石巡礼─見ておきたい日本の巨石22』編集=アスペクト編集部 があった。
このような本をだす場合、当然、編集部はこちらのホームページを見ているものと思う。
こちらとしては、パクられたと考えるしかないので、
なんとも不愉快であり、アスペクト編集部のモラルの低さが嘆かわしい。
本家はこちら。内容では負けないように精進いたします。
◆『神の火(上巻)』高村 薫 新潮文庫 を読む
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◎5/16(月)晴天
「神倉神社・ゴトビキ岩」をアップしました。
昨日、「神倉神社・ゴトビキ岩」のデータ作成中に、
自宅のMACが故障。ハードディスクがいかれたもよう。
週1ペースのアップに支障ありかも?
◆『三陸海岸大津波』吉村 昭 文春文庫 を読む
◆『震災列島』石黒 耀 講談社文庫 を読む
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◎5/04(祝)晴天
4月28日の夜、車で紀伊半島の南端・古座に向かう。
熊野市に2泊、堺市に1泊し。5月2日の深夜に帰宅。
およそ30カ所を巡る強行軍で、
見落としたポイントも多いが、ほぼ予定どおり走破できた。
今回の「巨石巡礼」の旅、週1ペース(?)でアップしていく予定。
乞ご期待!!!
◆『日本辺境論』内田 樹 新潮新書 を読む
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◎4/24(日)晴天
◆『松本清張の「遺言」─『神々の乱心』を読み解く』原武史 文春新書
◆『松本清張の残像』藤井康栄 文春新書
◆『半生の記』松本清張 新潮文庫(再読)
◆『神と野獣の日』松本清張 角川文庫
◆『巨怪伝〈上〉─正力松太郎と影武者たちの一世紀』佐野眞一 文春文庫 を読む
大震災からおよそ3週間、本の読めない日々が続いた。
何を読んでも無味乾燥で、白白しい。
今年はサクラを愛でる気分になれなかった。
この震災で何かが変わった…… のかも。
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◎4/04(月)晴天
都内のサクラが咲き始めた。昨年より6日遅いが、ほぼ平年並みとか。
今春の花見は、被災者に配慮して全国的に自粛ムードが広がっている。
青森の弘前公園は、さくら祭り期間中の約2週間に約200万人、
秋田県の角館は約126万人の観光客が訪れる観光の目玉であり、
さらに今年は東北新幹線の八戸 - 新青森間の開業もあって、
より多く観光客を見込んでいただろうから、
ライトアップを阻む電力不足や自粛ムードの蔓延は大きな打撃となることだろう。
名桜の宝庫・福島県も、今年は過酷な春になる。
約30万人以上が訪れる三春の滝桜は、自粛どころの騒ぎではない。
町の震災復興と近隣被災者の受け入れや応援、さらには放射能への不安で、
町役場も大混乱なのだろう。観桜客の受入態勢を整えることが難しく、
臨時バス、無料シャトルバスの運行中止、夜間のライトアップも中止。
警備員も最小限に抑え、観桜料は徴収しないとのこと。
くれぐれも風評「自粛」に惑わされないように。
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◎3/27(日)晴天
原発いまだ好転の兆し見えず。不穏の日々がつづく。
千葉県香取市在住の友人宅では、震災以来断水が続いており、
朝夕、近くの小学校まで水をもらいにいく、プチ被災生活が続いているとのこと。
それでも東北のことを思うと、文句はいえないといっていた。
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◎3/19(土)晴天
天地異変の脅威に揺すられて1週間余経ったが、
重なる原発の恐怖に晒されて、暗雲の晴れることがない。
原発事故は「想定外」の天災がもたらしたものではない。
人間の技術が、自然の脅威をもコントロールできると主張し、
リスクを否定しつづけた末の「安全神話」の崩壊であり、あきらかな人災である。
国や電力会社の迷走ぶりからも、
今回の原発事故が、戦時にも匹敵する脅威であることが見て取れる。
天災の脅威をも凌駕する原発危機は、人類への戒めと受け止めてほしい。
復興を願うには時期尚早である。原発事故の早期の収束を祈る。
◆『異端 金子光晴エッセイ・コレクション』ちくま文庫 を再読。
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◎3/12(土)晴天
11日(金)午後2時46分ごろに起きた東北三陸沖地震。
都内でも震度5強で、デスク前のラックの転倒を気にしつつ、
いそいでコンピュータをセーブして電源を落とす。
治まったかなと思いコンピュータを立ち上げて、ネットラジオ「rajiko.jp」を
付けてみるが、サーバーのダウンだろうか聞くことができない。
固定、携帯とも電話はまったく通じない。
気もそぞろなまま、現在進行中の仕事のやりとりをメールで行う。
夕刻、富ヶ谷の交差点に出てみると、徒歩で帰宅に向かう夥しい人の列。
電車もほとんどの線が運休しており、今晩は会社に泊まろうかと思っていたが、
ネットで東横線が動き始めたことを知り、渋谷駅まで歩いていく。
大混雑を予想していたが、それほどの混乱もなく
11時30分ごろには電車に乗れて、無事帰宅することができた。
家でテレビをみて、大津波にのまれた東北沿岸部の惨状に唖然とする。
東京の混乱など屁のようなものだ。
何とも名状しがたい天地異変の脅威が全身を揺する。
合掌
◆『彼岸先生』島田雅彦 新潮文庫 を読む。
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◎3/6(日)晴天
昨年もそうだったが、この時節になると忙しくなってくる。
忙しいことはうれしいのだが、石は待ってくれても、桜は待ってくれない。
これがつらい。
◆『前方後円墳の世界』広瀬和雄 岩波新書 を読む。
1月に読んだ『考古学の基礎知識』の編著者である。
プロローグにある多摩川台古墳群は、花見がてらの散歩で何度か訪ねたことがある。
全国各地の古墳公園の案内書としても役立つが、
先学の学説に対する問題提起もあって、新書ながらも読み応えは十分。
前方後円墳がつくられた3世紀半ばからの350年間を、
「律令国家」の形成過程としてみるのではなく、
首長層のつながり〈ネットワーク〉の時代であり、
一個の独立した「前方後円墳国家」であるとする広瀬説は、
従来の定説とは異なる新機軸として注目される。
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◎2/27(日)晴天
◆『人間は遺伝か環境か? 遺伝的プログラム論』日高敏隆 文春新書 を読む。
動物行動学の第一人者日高敏隆が、人間の成長のプログラムを、
入学式の「式次第」にたとえて、分かりやすく(?)を解説している。
「遺伝的プログラム」とは、入学式の「式次第」のようなもので、
1. 開式の辞、2. 校長の挨拶、3. 来賓挨拶、…… というように、
あらかじめ決められたプログラム通りに入学式は進められるが、
もしもこの順番をまちがえると、式はめちゃくちゃになってしまう。
式がおもしろいか、つまらないかは、実際に述べられる挨拶や祝辞の内容次第で、
プログラムを「具体化する」個人如何による…… というもの。
先日読んだ、岸田秀の『唯幻論物語』(文春新書)に、
1920年にインドで発見されたオオカミに育てられた二人の少女が、
もしかりにイノシシやシカであったなら……。という問いかけがあった。
イノシシやシカは本能が壊れていないから、オオカミに育てられても、
オオカミにはならず、依然としてイノシシやシカであったであろう。
しかし、人間は本能が壊れ、現実を見失った動物であるから、
人間に育てられないと、人間にならない…… というもの。
人間は遺伝か環境か? はてさてどっち? は、どうやら愚問のようである。
◆『私の「漱石」と「龍之介』内田百けん ちくま文庫 を読む。
百けんの約1000篇以上の文章の中から、
師の夏目漱石とよき友人であった芥川龍之介に関するものを集めた随筆集。
美文家で知られる三島由紀夫が、百けんを「現代……、随一の文章家」と絶賛し、
「褒め殺し」とも言えるような、最上級の評価を下しているのをご存じだろうか。
メジャーリーグの大選手が、マイナー選手の美技を讃えているように見えるが、
かつて、私もこの「褒め殺し」につられてを読みはじめ、
百けんのマイナーの魅力に取り憑かれた口である。
三島由紀夫云うところの、
「洗練の極、ニュアンスの極、しかも少しも繊弱なところのない、
墨痕あざやかな文章というもののお手本……」なるものを一読あれ。
或る友人の家を訪ねて行くと、先ず奥さんが紅茶を持って来た。
咽喉が乾いてもいなかつたけれど、お愛想に一口飲まうと思つて、
何の気もなく匙を摘まみ上げると、非常に重いので意外な気持ちがした。
重いと云つても知れたものであるが、
こちらでぼんやり予期した匙の重みより倍の倍も重かつたのである。
思つたより軽いのは貧相であるに違いない。
しかし重過ぎるのも、さう云ふ物に馴れている人は兎も角、
私などの手に触れるとわざとらしい感じがする。
結局は口へ入れる物の仲立ちとなる道具であるから、
さう云う時に匙が重過ぎたり又軽過ぎたりするのは、
次ぎに飲む紅茶の風味にも煩ひする様に思はれる。
(紅茶より)
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◎2/20(日)曇り
◆『七人の安倍晴明』夢枕獏=編 新潮文庫 を読む。
夢枕獏が選んだ安倍晴明七つのアンソロジー。
「視鬼」高橋克彦、「愛の陰陽師」田辺聖子、「日本の風水地帯を行く」荒俣宏、
「晴明。」加門七海、「鬼を操り、鬼となった人びと」小松和彦・内藤正敏、
「三つの髑髏」澁澤龍彦、「下衆法師」夢枕獏 の七作品。
この中で、趣というか、テイストが異なっているのが
澁澤龍彦の『唐草物語』(1981)に収録されている「三つの髑髏」。
案の定、文庫化するにおいて、単行本時の一作品が著作権の都合で収録できず、
新たにコンバートされて、本編「三つの髑髏」が加えられたとの経緯がある。
物語りは、清明が花山院の頭痛を治すために前世をさかのぼり、
頭痛の原因となる野ざらしのしゃれこうべを見つけて供養するというもの。
他作品との違いは、作品の面白さが、晴明というキャラクターに向かうのではなく、
花山院の「三つの髑髏」に象徴される「前世」「前々世」「前々々世」の錯綜する
「輪廻の鎖」に抽象されていること。想像力の飛翔こそ、小説の醍醐味といえる。
◆『贋作師』篠田節子 講談社文庫 を読む。
絵画修復士をヒロインに仕立てた異色の美術ミステリ。
ヒロインをはじめ、登場人物のキャラクターに好感が持て、
それなりに面白く読めていたが、ラストのドタバタ劇はいただけない。
駄作とまではいわないが、ギリギリの凡作あたりか。
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◎2/13(日)晴天
◆『埴輪と絵画の古代学』辰巳和弘 白水社 を読む。
縄文土器と比べると、弥生土器はシンプルであり装飾性は低いと見られるが、
本書を読むとこの認識が早計であることがよく分かる。
弥生・古墳時代の埴輪、銅鐸、土器、古墳壁画などに描かれた線刻文様や
人物埴輪にみられる顔面装飾に、
実に多くの呪術的イメージが内在されていることを教えてくれる。
古代人の精神世界を知る格好の一冊。
◆『夢枕獏の奇想家列伝』夢枕獏 文春新書 を読む。
NHK「知るを楽しむ この人この世界 夢枕獏の奇想家列伝」(2005年放送)の
テキストに加筆・修正を施したもので、登場する奇想家は、
玄奘三蔵、空海、安倍晴明、阿倍仲麻呂、河口慧海、シナン、平賀源内の七人。
一人一人の説明は30ページ足らずと短いが、著者の実地の旅を通して語られる
奇想家たちの輪郭は明快であり、独自の読み物として楽しめる。
安部晴明「五芒星に道」にある、中国・雲南省にある古代人が描いた岩壁の図像から
五芒星は、木・火・土・金・水の陰陽五行説をルーツとするものではなく、
太陽を表すマークであるという新説は興味深い。
著者の民俗学に対する知見の広さにも感心する。
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◎2/06(日)晴天
◆『唯幻論物語』岸田秀 文春新書 を読む。
岸田秀が初めて書き下ろした一冊であり、内容はいつになく重い。
本書の7章「葛藤」に、自らの強迫神経症や鬱病に苦しんでいた思春期に
フロイトの「強迫神経症の一症例に関する考察」を読み、精神分析に引き込まれ、
症例分析を参考に、自己分析を試みるさまが描かれている。
試行錯誤の一人精神分析は、凡百の小説をはるかにこえる面白さ。
もう少しつづきを読みたいところ。
◆『ダライ・ラマとの対話』上田紀行 講談社文庫 を読む。
『目覚めよ仏教!─ダライ・ラマとの対話』(2007年、NHKブックス)が文庫化されたもの。
上田氏のハイテンションぶりに、すっかり興ざめしてしまう。
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◎1/30(日)晴天
◆『死言状』山田風太郎 小学館文庫 を読む。
山田風太郎は、私のなかで五指に入る敬愛する作家。
本書の「私の床屋さん」に、頭のフケに悩まされる
「脂漏性(しろうせい)湿疹」という病気の話しがでてくる。
私もこれで、医者からもらった塗り薬を頭につけているところ。
同病相哀れむ仲になれてちょっと嬉しい。
◆『ここまでわかってきた 日本人の起源』 生命ビッグバン取材班 産経新聞出版 を読む。
新聞社の取材班が、新聞連載用に考古学、人類学等の学者に取材し
DNA分析などの科学データをもとにまとめられたもの。
さまざまな諸説を紹介するのに力点がおかれており、
資料としての価値はあるが、一冊の本としての面白みはない。
◆『アイヌは原日本人か』梅原猛、埴原和郎 小学館ライブラリー を再読。
上記『ここまでわかってきた 日本人の起源』は、2004年に亡くなった
自然人類学者・埴原和郎の「二重構造説」がベースになって諸説が展開されている。
二重構造説とは、日本列島の最初の住民は、東南アジア起源の「縄文系」であり、
弥生時代に北東アジア起源の「渡来系」の血が加わることにより、
現在の日本人に至ったという仮説。
本州から離れたアイヌ人と沖縄の人は、縄文系の特徴をより強く残しているという。
本書は、埴原和郎と梅原猛の対談だが、梅原猛が巧みな聞き役になって
二重構造説を分かりやすく解説している。「二重構造説」入門にはオススメの一冊。
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◎1/23(日)晴天
『アサヒカメラ』2月号(1/20発売)に、坂本政十賜の新作「東北」が
フロント8ページにわたって掲載されている。
坂本の写真は、彼が写真を始めた駆け出しのころから見ているが、
これまでの作品で見た都会、海外の風景では、
彼の深層に根付く無機的、即物的な視線は見えても、
その対象のなかの何をそぎ落としたいのかが、今ひとつ見えてこなかった。
本書・撮影ノートのなかで、「東北」の撮影をはじめたきっかけとして、
東北線の車窓から、ふと眺めたある集落の家の面白さにひかれ、
最初は珍しさで撮り始めていたが、徐々に東北という風土が自分にしみこんできて、
家を撮るというよりも、風土と自分の感情のかかわり合いを意識しはじめたと話している。
東北の家に出会ったことで、彼のもつ無機的なスタンスが、
明確な方向性をもって、より鮮明に浮かび上がってきたのではないだろうか。
東北の民家に残る日本人の土着性、風土をそぎ落とすことで、
これまでの作品以上に、写真を見るものの想像力にゆだねさせる
隠喩としての「家=風景」が立ち上がってきたように思えるのだが。
先日のメールに、雪の東北を撮影したいとあった。
「東北」シリーズの成長を楽しみにしている。
◆『まほろばの疾風』熊谷達也 集英社文庫 を読む。
◆『荒蝦夷(あらえみし)』熊谷達也 集英社文庫 を読む。
『まほろばの疾風』の主人公は、古代蝦夷の英雄アテルイ(阿弖利爲)。
『荒蝦夷』の主人公は、アテルイの父親、アザマロ(呰麻呂)。
作者は同じだが、続編・姉妹編のつながりはなく、人物設定も異なっている。
面白いのは呰麻呂(アザマロ)を描いた『荒蝦夷』である。
アテルイ物では、高橋克彦の「火怨」に軍配を上げる。
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◎1/16(日)晴天
◆『シャッター・アイランド』デニス・レヘイン ハヤカワ・ミステリ文庫 を読む。
昨年公開されたスコセッシ監督の映画『シャッター・アイランド』の原作本。
クリント・イーストウッドの『ミスティック・リバー』もこの作者である。
ボストン沖の孤島にある凶悪犯専用の精神病院で行われている非人道的な外科手術──。
単行本では結末部分の章が袋綴じになっていたというが、
そうした殊更な仕掛けも、ギリギリ紙一重の奇抜な設定・苦肉の展開でうなずける。
物語のおもしろさは今ひとつ。
◆『岩佐又兵衛 浮世絵をつくった男の謎』辻 惟雄 文春新書 を読む。
辻惟雄に『奇想の系譜』(1970年)という名著がある。本書はその続編といえ、
『芸術新潮』(2004年10月号)の特集「血と笑いとエロスの絵師 岩佐又兵衛の逆襲」に続く、
又兵衛論の総決算にあたる一冊。本書の中で、
これまで否定されていた「舟木屏風」(洛中洛外図)を又兵衛作と認められている。
自説を覆される勇気は称賛に値する。
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◎1/9(日)晴天
◆『日本一の桜』丸谷 馨 講談社現代新書 を読む。
桜の本では久々に出会う好著。
危機に瀕している全国の名桜地の光明が、弘前公園の保護育成法にあることは間違いない。
そのためだろう著者も弘前公園に多くのページを費やしている。
桜まつりの舞台裏などよく取材されていて楽しめるが、
残念なのは、一本桜のチョイスが国指定天然記念物に偏りすぎていること。
悲しいかな国指定桜の多くは枯死寸前の状態にある。
名もなき桜でも周囲の景観が良ければ、名桜に負けない美しさを放つもの。
一本桜の美しさはそこに尽きる。
◆『蘇我王朝と天武天皇』石渡信一郎 三一書房 を読む。
先月紹介した石渡信一郎、林順治両氏の古代史学応援ブログサイト
『新・古代史「倭韓交差王朝説」を考える』 が猛烈な勢いで更新されている。
一月足らずで注目の古代史ブログに成長させるN氏の早業に恐れ入る。
N氏の勢いにのせられて、私も石渡本を読んでみると、
巨石巡礼にも掲載している 益田岩船、酒船石、石宝殿についての興味深い仮説を見つけた。
益田岩船については、現在、未完成の石槨式石室とする説が最も有力視されているが、
石渡氏は、未完成説の根拠となっている上部にある西穴の亀裂が、
加工中に生じたと推定するのは主観的・恣意的であるとしてこの説を否定している。
石渡説は、写真家・小川光三の唱えるレイライン(太陽の道)説を援用して、
古墳の位置決定に冬至や夏至の日の出線・日の入り線が重視されていることに着目する。
欽明天皇の墓とみられている見瀬丸山古墳の前方部の先端が、岩船と三輪山を結ぶ線上にあり、
東西線に対し45度で交わること。また、後円部の先端と岩船を結ぶ線が、
東西線と28.5度で、これが正確な夏至の日の出線にあたること。
他にも鳥見山、石舞台古墳、河内大塚山古墳などの方位関係から、
岩船の所在地点は6世紀の欽明時代から大王や天皇の墳墓の位置を決定する重要な基点であり、
岩船は霊台兼日没観測台の礎石として設置されたという説をとっている。
となると、この巨石をどこかから運ばれてきたとする移動説に傾くが、
やはり約800トンの巨石を山の上に引き上げることができたかという点では疑問が残る。
また、酒船石については、岩船と同じレイライン説で日没観測台。
石宝殿は、精緻に加工された完成品であり、
大王の支配下にあった石工集団がつくった記念物としている。
◆『考古学の基礎知識』広瀬 和雄 角川選書 を読む。
タイトル通りの考古学入門の基本講座。旧石器時代から平安時代まで、時代ごとの
通説や定説を最新の研究成果を元に見直し、最前線の概念や用語をわかりやすく解説している。
総覧の書として役に立つ。
◆『アクアリウム』篠田節子 新潮文庫 を読む。
奥多摩の原生林にある地底湖で謎の生命体に遭遇するホラーファンタジー。
奇抜な着想に吸い寄せられて冒頭から一気に読まされてしまう。
いまのところ篠田節子に外れはない。
◎正月休みの間に観たDVD。
◆『フローズン・リバー』(2008/監督:コートニー・ハント)
1964年生まれの女性監督コートニー・ハントの長編デビュー作。
多額の報酬と引き換えに、密入国を手助けする違法なビジネスに手を染めていく
白人女性とモホーク族(北アメリカの先住民族)女性の姿を描いたヒューマン・ドラマ。
低予算でも脚本次第でこれほど完成度の高い作品がつくれることを証明する秀作。
主演は本作でアカデミー賞主演女優賞(2009)にノミネートされたメリッサ・レオ。
◆『クロッシング・ガード』(1995/監督:ショーン・ペン)
『インディアン・ランナー』に続くショーン・ペンの監督第2作目。
主演はジャック・ニコルソン。ペンの監督3作目『プレッジ』(2001)でも
タッグを組んだいるから二人はよほど仲がいいのだろう。
走る走る老体ニコルソンの行き着く先のラストは感動もの。
ニコルソンの部下に日本人の石橋凌が出ているのもちょっとうれしい。
ショーン・ペン情報では、「天国の日々」「シン・レッド・ライン」で知られる
伝説の監督テレンス・マリックの新作『ザ・ツリー・オブ・ライフ』に
ブラッド・ピットとともに共演しているとのこと。今年公開されるらしい。
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◎1/5(水)晴天
あけましておめでとうございます。
本年度もよろしくお願いします。
「続石」岩手県遠野市
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