▲左が本殿、右手上に鎮座しているのが「立石大明神」と呼ばれるご神体の八稜石。
 場所はわかりにくい。地図(県別マップル1/3万)にも神社名は出ていない。散々迷ってしまったのでコースを記しておく。国道140号線から県道206号(塩平窪平線)に入る。黒戸奈神社を過ぎ、左手にスズキの看板がある「中村自動車」を見つけたら、その角を左折。あとは道なりで数百mだ。

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 案内板に、ご神体は八稜石とある。八稜という名から八角形の石を想像するが、石にはとくに加工された痕跡はない。自然石を八稜に見立てたのだろう。
 古墳にも八角形のものがある。古墳時代終末期、天皇陵や皇子たちの墓は八角形墳だった。国際日本文化研究センター教授の千田 稔氏は、道教において八方位は宇宙を象徴すると考えられ、よって葬られた人物は「宇宙王」あるいはそれにつらなる者であったとしている。さらに、八角形といえば、京都御所の紫宸殿にある高御座(たかみくら)がある。大正4年(1915)11月、大正天皇即位の儀礼の際に、古式に則って造られたものだが、写真でみると八稜石と様相が似ていなくもない。このあたりから八稜石という名前が出てきたのだろう?

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 ご祭神は、天照大神がおかくれになった岩戸をこじあけた力持ちの神、天手力雄命(あめのたぢからおのみこと ) である。

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▲享保14年(1729)に再建されたという本殿。


▲拝殿横から奥に入ると、木立のなかに小さな祠が建っている。

▲祠のまわりに巨石がゴロゴロ横たわる。
 巨大なご神体も見応えがあるが、ここでおもしろいのは、拝殿のさらに奥に鎮座する小さな祠を中心とした空間だ。
 杉木立が昼間でも仄暗さを投げかけ、ゆるやかな山の斜面のあちらこちらに巨石が無造作に転がっている。石がなければただの殺伐とした風景なのだが、無秩序な巨石の配置が、なにかしら意味ありげにも見えてきて、きつねでもあらわれそうな雰囲気だ。さらに尾根づたいに急な斜面を登ると秋葉神社に出る。このあたりにも巨石群は連なっている。こちらは立石状のものが多い。

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2004年5月26日撮影


▲さらに奥に登ると秋葉神社とかかれた石碑のたつ磐座がある。

▲立石神社の名にたがわず、メンヒル状の巨石が多い。


【案内板】