▲大字川原と野口の間にあり、顔は南西を向いている。
 飛鳥を訪ねるのは20数年ぶりだ。かつての亀石前の畦道は舗装され、隣はみやげ物屋だろうか、自動販売機が置かれ、周囲には人家も建ち並んでいる。亀石はそんな人家の駐車場に入れられた軽自動車のように見える。

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 亀石は、長さ3.6m、幅2.1m、高さ1.8m。重さ約40tの花崗岩の巨石で、亀に似ていることから亀石と呼ばれている。しかし、顔の部分だけをみると、カエルにも見える。三角形に突き出た顔と、上向きに付いた目がカメとは異なる。カメなら顔は楕円形の棒状であり、目は横に付いているように思われるが、いかがだろう?

 亀石は何のために造られたのか? 
 平安時代の永久4年(1116)の弘福寺(川原寺(かわらでら))文書に「字亀石垣内」という記載がある。亀石のある場所が、大和の条里制(耕地を碁盤目に区画する方式)の東十条四里の東南隅、六の坪にあたることから。川原寺の寺域の境界を示す榜示石ではないかとも考えられるが、定まった説はいまだにない。

▲カメとカエル。どちらが似ていると思う?


 亀石は今南西を向いているが、もし西を向くと洪水になるという伝説がある。
 現在の飛鳥を歩いていて、ここが洪水に見舞われる地形とは考えにくいが、万葉集に、天武天皇が「牛の腹が泥につくような泥だらけの地を都として立派にした」という歌がある。古代、飛鳥川はあばれ川であったらしい。

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2004年4月6日撮影

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