トルコのカッパドキアを彷彿させる奇岩群。柔らかい地層と硬い地層が重なり合い、風雨による浸食によって生み出された。


岩の上部分が凝灰岩質細粒砂層。下部分は浸食に弱い軽石凝灰岩。層理面を境にはっきりと違いが見られる。


岩が縦に分かれているのは、節理が原因と考えられる。節理によって岩が割れ、そこから雨水が浸透し浸食が進行した。

 「浄土松山」「浄土ヶ浜」「浄土ヶ岡」といった純和風のネーミングからは想像できない幻想的なフォルム。ファンタジックな砂の造形物に、縄文以来のアニミズム的な信仰要素は感じられないが、高さ10mはあるだろう白亜の奇岩「きのこ岩」との遭遇は、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだような不思議な感覚にとらわれる。

 「きのこ岩」のある丘陵部(標高315m)一帯は、新第三紀中新世(約2,500万年前から約500万年前)の白石層に属し、断層の傾斜によって分断された地層が、層理面を境にして風雨による浸食の度合いが異なるため、長い年月を経てこのような形になったと考えられている。
 キノコの茎にあたる部分は、火山噴火の際できる浸食に弱い軽石凝灰岩。笠の部分は、火山灰と細粒質の砂とが混じって、太古の海に積もってできた凝灰岩質細粒砂層からなっている。

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 「きのこ岩」の表面は、角砂糖のように脆く、軽く触っただけでぼろぼろと崩れてしまう。岩の周囲に立ち入らないで下さい。という看板があるが、囲いはないので自由に踏み入ることができる。
 郡山市の中心部からおよそ10キロ離れているので、それほど多くの見学者が訪れることはないと思えるが、50年後、100年後には失われてしまう風景ではないかと危惧される。

 昭和33年に県の名勝・天然記念物に指定され、現在は、浄土松公園として整備され、散策路やアスレチック、多目的広場なども整い、市民の憩いの場所となっている。

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2009年4月12日 撮影



足元には浸食により崩壊した砂が堆積している。


ほとんどの見物客が岩の周囲を歩き回り、なかには登る奴も。




【案内板】